転載:幼い子どもたちが避難する際のケアについて

 私が管理人をしている子育ちメーリングリストから
転載させていただきました。

 モンテッソーリ教育の専門家の深津高子さんのレポートです。

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もくじ
【新しい避難場所が決まり、移動する時】
「0歳から3歳 穏かに安心感を伝えましょう」
「3歳から6歳 具体的に伝えましょう」
「6歳から12歳 大切な価値を伝えましょう」

【避難先へ向かう準備】
「自分のことは自分で」

【避難先に着いたら】
「0歳から3歳 場所や順序を保ちましょう」
「手や身体を動かしましょう」
「お手伝いもしてもらいましょう」

【地震のときの対応】
「言葉以外の表情や仕草にも配慮をしましょう」
「怖さを軽減してあげましょう」
「言葉をいったん受け止めましょう」

【被災地での本や話しの内容】
「現実に即した絵本を読んであげましょう」
「Good Newsを子ども達に!」
「安心感を与えるためにできること」

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【新しい避難場所が決まり、移動する時】

「0歳から3歳 穏かに安心感を伝えましょう」

まずどんなに幼い子どもでも、大人がせわしく動いたり、
険しい表情の大人が真剣に話しあったりしていると、
「何かいつもと違う」、「何か変化が起きる」ことを感覚的に
察知しています。

ですからお子さんが乳児でも、18か月の赤ちゃんでも、
2歳児でも、きちんと目を見て、これから何が起こるかを
平常心で話してあげてください。

大袈裟に「遊びに行くんだよ!」と嘘をつくより、
「みんなで一緒に、○○というところに(電車、バス、新幹線etc)で
行くんだよ。」と事実を穏やかに伝えてあげてください。

また「大人も一緒に行くこと」を強調して、不必要な心配を
取り除いてあげましょう。2,3才なら小さなリュックに
水筒や必要最低限の軽い荷物を背負うこともできますね。

マスクをいやがる様だったら、いつもうまくいくとは限りませんが、
何かマジックで絵を描いてあげると効果があることもあります。

「3歳から6歳 具体的に伝えましょう」

行く場所の固有名詞をきちんと伝えましょう。
「○市にある誰々さん宅のお家…」のように、できるだけ具体名を
きちんと伝えてあげることで、不安感が減少します。
また交通手段も教えてあげると、鉄道好きの子どもたちは、
それだけでも嬉しい要素が増えます。

地図を見せて、「今ここだけど、ここまで行くんだよ」と
具体的に説明することが安心感を与えます。

「どうしてお家を離れるの?」「いつまでいるの?」と
聞かれることもあると思います。各家庭で判断して、分かりやすい
言葉で説明してあげるのが一番だと思います。

但し、「遊びに行く」というよりも、「ここにいると、だんだんと
空気が汚れてくるから、もっときれいなところに行くんだよ」

「空気がきれいになったら帰ろうね」などと説明してあげると、
なぜ道中マスクをしなければならないか、なぜお茶や
ジュースを飲むときにも、ストローでマスクの隙間から飲むのかなど、
いろいろな注意すべきことに理解を示し協力してくれて、
移動の道中が少しでもスムーズになるでしょう。

「6歳から12歳 大切な価値を伝えましょう」

この時期は、3-6才の時よりずっと学校の友だちやグループ活動が
大事な時期にきています。友だちとしばらく離れるので、
是非、滞在先の住所、電話番号などを教えてあげましょう。

もしかするとインターネットで避難場所への一番効果的な
交通手段、時刻表などを検索するお手伝いをしてくれるかも
知れません。そうすると、道中の交通手段が自分の調べた通り行くと、
子どもは家族の役に立ったと感じ、家族の一員として小さな
自信につながります。

できる範囲で、きちんと今の状況を話してあげましょう。
もう既にTVや映像で、もうかなり見て知っている子もかなりいます。
原発の話、放射能の話、子ども達が被爆しないように安全な
場所に移動することの価値など、科学的な数字ももう分かる年頃です。

もしかするとチェルノブイリのことも調べて知っている子も
多いでしょう。TVから日々、何度も何度も繰り返される津波や地震や
原発の恐怖を知らせる映像は、できる限り制限しましょう。
反面、できる限り前向きのニュース、「80歳のおばあちゃんが助かった」、
「病院に足りなかった薬が届いた」など、実際に起こったよい
ニュースを伝えてあげましょう。

小学生になると想像力が旺盛になるので、いろいろな質問攻めに
あうでしょう。

「いつまで家を離れるのか」、
「新学期から学校に行くのか」、
「友だちも一緒に同じ場所に行くのか?」

3歳から6歳の頃と違って、かなり先を見通す力や洞察力の
表れだと思って、感情的にならずに対応してあげてください。

また「友だちの○ちゃんちは行かないのに、どうしてウチだけ
行くの?」という質問もしてくるでしょう。これも6歳から12歳と
いう集団を好む時期に現れるごく自然な脳の働きです。

つまり倫理観や道徳心、正義感などが強くなり、大人の自己
矛盾に気づいたり、親が白黒はっきりしないことなどに対して
強く抗議してきます。

ですから、この機会は、その家庭なりの「大切にしている価値観」を
伝えるよいチャンスだと思って、わかりやすく説明してあげましょう。
「お母さんたちは、あなたが宿題をするより、生命の方が
大事だと思うの」とか「生命は大切なもの」「あなたは掛替えのない
大切な人」ということを伝える良いチャンスになるかも知れません。

【避難先へ向かう準備】

「自分のことは自分で」
歩き始めた子どもは、身の回りの自立(くつを履く、服を着る)
ができるようになりますが、3-6才や小学生になると
ある程度の荷物作りもできます。これは自分の荷物を自分で
つくるという自立の絶好の機会です。

目的地の季候や住まいの様子を伝え(または調べさせ)、
自分で必要と思える衣服や下着、文房具などを最低限の荷物を、
自分でリュックなどに詰めさせることです。

兄妹姉妹が多い家庭なら既にやっていると思いますが、
このような緊急事態に備える為にも、自分のことを自分で考える
きっかけにもなります。

そして、自分の荷物は自分で持つことが鉄則ですので、
自分が抱えきれないような荷物は、最初から持たないこと。
あまりに沢山持って行きたい子どもには「AとB(またはC)の中で
どれがいい?」と選択肢を与えて、よく自分で考えるチャンスを
与えてあげましょう。

【避難先に着いたら】
 まず何歳であれ、「よく最後まで頑張ってついてきたこと」を
誉めてあげてください。疲れているし、何が何だかよく分からない様子かも
知れませんが、一緒に遠い旅をしてきたことをねぎらいましょう。

「0歳から3歳 場所や順序を保ちましょう」
子どもに、お世話になる家人を紹介するだけでなく、部屋の
オリエンテーション(説明)もしましょう。
(『デチタ!』の22~23ページ参照)

赤ちゃんでも抱っこして、ここで寝るんだよ。ここで
食べるんだよ、遊んでいいところ、トイレ、お風呂などです。
そしてオムツを変えるのも、授乳(哺乳瓶でも)、いつも同じ場所
(一つの部屋であっても同じコ―ナ―)でします。食べるのも
同じ場所で、ころころ変えないことが新しい場所に慣れる一番
の近道です。

0歳から3歳の時期は秩序の敏感期なので、順序や、位置が
同じであることに子どもは安心感を得ます。お布団の位置や
寝る方向も同じようにします。オムツを変えるときの儀式
(話しかけることば、足のマッサージなど)や、寝る前の儀式
(絵本を読むなど)があれば、それも毎日同じルーティーンで
してあげてください。

もう歩ける子だと、家のどこに何があり、使い方、注意などを
現場に連れていってゆっくり話してあげてください。あまり
難しいことを沢山話す必要はなく、きっと疲れているので、
簡単に全体的なオリエンテーションすることで安心感を与えます。

「手や身体を動かしましょう」
0-6才は、運動の敏感期にいて、動くことで学ぶ時期なので、
彼らは毎日動く必要があります。

それはスポーツでも、お手伝いでも、大工仕事や料理、特にもちつき、
田植えなど、人とする協同作業がいいですね。もしあるようなら、
ボール(赤ちゃん用の柔らかい小さいボール、サッカ―ボール、
膨らませるタイプの大きいボール)、縄跳び(短いのと、大縄両方)、
バドミントンなどの2人でできるゲーム類。
また単純な遊びですが、ゴム風船をふくらませて、パッと手を離し
それを皆で追いかける遊びも大好きです。

反面、あまり外で遊ばないタイプの子どもでも、手や腕を動かして何かを
描くことも楽しいでしょう。言葉に出せない悩み、小さな胸に
抱えている心配などを表現することにもつながります。

「お手伝いもしてもらいましょう」
この時期の子どもにとって、「遊ぶ」ことと「お手伝い」の境目は
ありません。できる限り昼間は外で遊んで、食事の際に歩行児なら
お皿やコップを運んだり、調理のお手伝い(サラダをちぎる、
混ぜる、ジャガイモの皮をむく、ゆで玉子の殻をむくなど)に
参加させましょう。

もし他の家族もいて大家族で滞在している場合、
2、3歳くらいなら「配膳」「お片づけ」「枕ならべ」などを
手伝ってもらいましょう。4、5歳くらいで力のある子なら、
「布団しき」「布団たたみ」「風呂の掃除」など、
ゴシゴシ系も大好きです。自分の衣服を畳んだり、
同じ場所に自分の荷物を置いたりして、あたらし場所でも
秩序(いつもそこにある)が一番安心感をもたらせます。

6歳から12歳なら、もっとダイナミックな手伝いができるでしょう。
ある意味でボランティア的な活動です。同じ年齢の子どもたちが
いれば、グループで相談して問題解決をし、決めたことを実行するのは
最高ですね。なにせ彼らは「プロジェクト」が大好きなのです。

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【地震のときの対応】

「言葉以外の表情や仕草にも配慮を」
まず大人が(子どもの前だけでも)落ち着くこと。
「大丈夫だよ」というメッセージは言葉だけでなく、声の出し方、
イントネーション、表情、仕草、動きからでも十分伝わります。
もちろん抱きしめたり、頬ずりしたり、手をつないだりすることは
言うまでもありません。「大好きだよ」というメッセージも
この時期、非常に大事と思います。

0歳から3歳は、「地面が動いた」ことも感じていない子どももいます。
ずっと寝ていた子どももいますね。以前、私のクラスでも保育中に
何度か地震がありましたが、大人が落ち着いていると、2歳から6歳の
子どもたちでも全く平常心でパニック状態にならず、
「押さない」、「走らない」、「しゃべらない」
=「お・は・し」の約束を守っていました。
(但し、緊急事態で逃げる必要のあるときは例外です)

「怖さを軽減してあげましょう」
反対に、地震によってかなり深く恐怖を感じてしまった子どもは、
風が吹くだけでも、窓を叩く音や、消しゴムを使って机が
揺れるだけでも、身体を固めてしまい、ビックリする子もいます。
「何かが動くことが怖い」とトラウマになっている子には、
事前に言葉がけが必要かも知れません。「今、消しゴム使うよ」と
今から何かが動くことを予測できるようにしてあげると、
不安要素が減少すると思います。

「言葉をいったん受け止めましょう」
またよくあることですが、「怖かった!」と表現をした子に対して、
スグに大人は「大丈夫だよ!」と励ましがちですが、一度は
「そう、怖かったんだ」と、きちんと子どもの「怖かった」という
気持ちに共感してあげることが大切です。それから
「でも、大丈夫だよ」と伝えると、子どもは受け入れてもらって、
なおかつ大丈夫なんだという気持ちになるでしょう。

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【被災地での本や話しの内容】


「現実に即した絵本を読んであげましょう」
寝る前に、本を読んであげる儀式は続けてあげましょう。
抱っこしたり、2人を膝に抱いたり、一日の中で、親子にとって、
ゆったり安心できる時間です。様子をみて、同じ本が飽きてきたら、
別の本を紹介してあげましょう。
本の選び方:0歳~3才は、『デチタでチたできた!(以下デチタ)』にも
紹介しましたが現実に即した絵本をご参照ください。

幼い子どもは、知っていることは非常に理解しやすく、
愛着を感じます。それは食べたことのある果物でも、
見たことのある動物でも、トラックでも、季節の移り変わりでも
該当します。でも5,6才くらいから徐々に想像力が増し、
目の前になくても思い描いたり、過去や未知の世界や
ファンタジーのお話も、彼らのイマジネーション能力の
発達と共に紹介していくと大変喜びます。


「Good Newsを子ども達に!」
悲しくて恐ろしい体験や映像を見てきた子には、人間が
本来持つ「良い姿」を紹介してあげましょう。例えば、本来、
人は協力しあって生きていくことがわかるような本やお話です。
昔、ポルポト政権下で傷つけ合う大人の姿ばかりを見てきた
子どもたちが、難民キャンプの病院で、初めて医者が患者を
救う姿を見て「本来人は、人を助ける存在だ」と感動した話を
覚えています。

以前、神戸の地震のとき、クラスの子ども達にスイスから
やってきた救助犬の話をしました。
「ワンワン」と鳴くときは「人が生きてるゾ!」というサイン。
「クンク~ン」というのは「人が死んでいる」というサイン。
でも沢山「ワンワン」鳴いてくれて、がれきの下にいる人を
助けてくれたんだって話した数年後。チリ沖の地震のとき、
一人の子どもが「ねえ~、スイスから今度も犬、行ったかな~」と
聞いて来て、私は何のことやら思い出せず、やっと後で
救助犬のことだと分かりました。子どもたちは、人間が
助け合ったり、動物がやさしい行動をしたりする本当にあった話が
大好きです。

「安心感を与えるためにできること」

親しい人に会う→「アッ、○○ちゃんだ~!」と友だちや
親せきの人が避難場所に訪ねていくと大喜びする。

笑う→言葉で遊ぶ(しりとり、○がつく言葉、反対言葉、
なぞなぞ、手遊び、会話、ダジャレ)日常的な作業をする
→掃除、洗濯、料理、手工芸などはグラウンディングや
安心感につながる明るい希望のある話題を探す。
→「7日ぶりに人が見つかった」「赤ちゃんが生まれた」など。

歌を歌う(輪唱が効果的)
→何人かで一緒に輪唱をすると人の和、協力が感じられる、楽器を弾く
→不安な脳を、前向きな脳、考え方にシフトしてくれる
人が人を助けている風景を見る。

手紙を書く、もらう(メールができない場所ではハガキと鉛筆が
大活躍!彼らに手紙を書くボランティアもあるといい)

絵を描く、コラージュを作る、写真を撮る。
残っている家族に送るファミリービデオを子どもが企画・製作する。

以上、これらは大人の安心感にもつながると思います。

深津高子(国際モンテッソーリ教師/幼い難民を考える会理事)

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避難している子どもたちが安心して遊べるようになりますように。

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