宿題のおかげで

 長女ムユが小学校に入学してから、あああと思うのが、宿題。

 宿題をやる時間なんてもったいない。外で遊んだ方がいい。

 ムユもあまりやる気ないし。

 内容は、そうきつそうには思えないし、内容的に意味のない
ものだとも思わないけれど、でも、「やらないといけない
(スペイン語でdeberes)」こと自体がネガティブだと思ってしまう。

 別に、やらないことで、先生にいろいろ言われても、ま、
いいんじゃないの?
 
 と言いつつ、禁句「はやくやっちゃいなよー」をどうしても
言ってしまう。こんなことで、ムユにプレッシャーを与え、
私が自己嫌悪に陥ってどうする?

 内容はともかく「やりたくないこと」をやるのって、人生には
そういう場面も多々あるわけだから、やりたくないことも
やる練習をした方がいいという肯定派の意見。

あるいは、

無理矢理やったって身に付くわけはないし、
「やりたくないこと」をやらされ続ける苦痛によって
「やりたいこと」もやりたくなくなってしまうのでは?
などの否定派の意見。

 様々な考えに揺れています。

 気持ちとしては、後者の方なんですが、どういうふうに
考えればいいのか、わからないというのが正直なところ。

 そんなある日の宿題のお題は:

『おとうさんとおかあさんに生まれたときのことを聞くこと』

 パパとママ、どっちが話そうか?

 じゃ、ママね。

 ムユがね、おなかにきてくれたとき、ママはね、
すごくどきどきしたの。

 どんどんおなかの中で大きくなって、どんどんムユは
おなかの中で動くようになって、いっぱいママのおなかを
けっとばしてたの。

 「きゃはは」

 さっちゃん(次女サチャ)がうまれたときみたいに、
ママはお風呂に入って、ムユのことを待っていたの。

 ムユ、さっちゃんが、生まれたときのこと覚えてるでしょ?

 「うん、おぼえてる」

 ママ、すごくムユに会いたかったんだけれど、痛くて痛くて。

 でもね、ママ、「んっんっ」ってがんばったの。
ムユが元気で出てくるようにって。

 「んーって?」(ふんばるような顔をして)

 そう、で、ムユもがんばってくれたの。

 ママが、「んーっ」って力入れたら、ムユの頭が
ぽこっとでてきて、また「んーっ」って力入れたら、
体がぼこぼこって全部出てきたの。

 「きゃはは」

 でも最初、さっちゃんみたいには、すぐには泣かなくて、
ママ、心配しちゃったんだ。

 でもお医者さんが、ムユの背中をよしよしって
さすってくれたらね、ムユ、泣き始めたの。

 ママ、ほっとしたよ。よくがんばったね、ってムユに言ったんだ。

画像


 そこまで話したとき、ムユの目が赤くなっていることに
気がつきました。

「むーちゃん、どうしたの?」
「ううん、なんでもない」
「泣いてるの?」
「なんかなみだでてきちゃったんだけど、どうしてかわかんないの」
と泣き笑いするムユ。

 まだ幼いから、言葉にすることができなかったのでしょう。
でも、明らかに、感動していたんだと思います。
ムユのその様子が愛しくて、そして当時のことが思い出されて、
私ももらい泣きしてしまいました。

 本当はね、まだ話せないこと、いっぱいあるんだ。

 おなかに赤ちゃんがいるってわかったとき、嬉しさよりも
心配の方が大きかった。

 パパと一緒に生きるって、なかなか覚悟決められなかった。

 ママになるって、よくわからなかった。

 ママのママたちにもいっぱい心配かけちゃったし。

 本当は、不安ばっかりで、いっぱい泣いちゃったんだよ。

 生まれるときも、痛くて怖くていっぱい泣いて、叫んじゃって。

 生まれてからもね、ちゃんといいママになれなくて、
落ち込んだこともいっぱいあるの。

 でもね、やっぱりむーちゃんに会えたことは、
今までのママの人生の中の宝物なんだよ。

 ありがとうね。

 いつか、そんなママの弱さも何もかも全部一緒に、
あなたに話せる日がくるかしら。

 思いがけず、ムユの宿題のおかげで、私の心の中の、
生まれたての赤ちゃんのように、柔らかくて、湿っていて、
そしてあたたかな場所がふるえた夜でした。

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この記事へのコメント

もめん
2010年11月26日 10:43
素敵な宿題…。

ママの感覚や気持ち…ムユちゃんに伝わったんだね。
ママが産んでくれなきゃ…生まれてこれなかった。
その前に…パパとママが出逢ってくれなきゃ、ムユちゃんの人生って、なかったんだよね。

こんな幸せな楽しい時間を味わえなかった…。

自分のやるべき道が見つかるまで…そりゃ~いろんな事有るし、想うだろうけど…。
きっと、みつけてくれると思います。ムユちゃんとサチャちゃん…。

だって、あやさんとエクトルさんは、愛が溢れてるし…精一杯生きてるから…。まだまだこれからゆっくり歩いて…。
何処で暮らしていても…家族って、やっぱり、大切で素晴らしいよね。

ここは、心がホットになる場所になってますよ。
なんだか…自分も、親戚のような気持ちで…。いろんなテーマが楽しくて…。
ありがとう(o^-^o)。
ワダアヤ
2010年11月27日 05:30
もめんさんへ

 すてきなコメントありがとうございます。
 ムユとの対話の中の感覚を忘れたくなくて、すぐに書いたのですが、ちょっと熱かったかも…と書いたことをちょっと後悔していました。書いたこと、というよりも、こうしてブログにあげたことに対して。でも、共有することでまた、違う暖かみをうむこともできるんですね。ありがとうございます。
真澄
2010年11月28日 15:37
何度読み返しても、私もうるうる。。。
いい話だよぉ~。写真もステキだし。
ブログって、いい記録だと思うよ。
ミナコ
2010年11月28日 16:47
私も産んで間もないし、なんか、ホロリと来たよ。
でさ、父と最後の方にかわしたことを思い出したよ。
父:「おまえが本当に母親になれるんか」
私:「急にはなれないよ。おそらくすこしずつ母親になっていくんじゃあ、ないのかな。」
父:感慨深げに
  「そうやな、わしらもそうやったなあ。おまえの言う通りや」
そんな会話を思い出したよ。いなくなった父が今は本当に懐かしいし、話したいよ。親になって改めて話したい事がたくさんあるのに、残念だよ。

親になるってすごいことよね。すごいものを授かったとつくづく思う。
ワダアヤ
2010年11月28日 21:54
真澄ちゃん

 すてきなコメントありがとう!記録代わり&日本にいる人たちへの近況方向、未来の自分へのプレゼントと思って書いています。でも未来のムユやサチャもちゃんと読めるよう、二人にちゃんと日本語教えないと。(でも読まれると思うとドキドキ)
ワダアヤ
2010年11月28日 22:00
ミナちゃんへ

 いつもコメントありがとう!お父さんと大事なこと話せたね。私は、ちゃんと話せるまでにまだまだ時間がかかりそうです。でも今話さないといけないんだよね。でも一番大切なことって勇気がいるね。

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