洗礼パーティー

 「洗礼パーティー」と活字で書くと何やらあやしげな
感じがしますが、それは洗礼を受けた子どものお祝いを
するパーティーです。

 私は過去に何度も、この先住民の「パーティー」に
お呼ばれしたことがあります。それは、洗礼、聖体拝領、堅信の
お祝いや結婚式と言った、宗教系、あるいは卒業式や就任の
お祝いパーティーなどです。

 今回、お呼ばれしたのは「洗礼パーティー」です。

 教会で洗礼を受けた後、自宅なり、親の家なりで、パーティーをします。

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↑洗礼パーティーへようこそ

 それには様式があって、とにかく必要なものは:

① 肉 (ブタの丸焼ORクイの丸焼OR鶏の丸ごと煮)
② ジャガイモ
③ モテ (と呼ばれる、トウモロコシをゆでて、また乾燥させてから、
灰で戻す、伝統的なトウモロコシ料理。たいていのに日本人には
不人気。)
④ バンド&馬鹿デカスピーカー

です。

 男の子の場合は、パドリーノ(代父)、女の子の場合はマドリーナ(代母)が
つきます。このパドリーノ、マドリーナはいわゆる後見人のようなもので、
この人たちがいないと、洗礼も、聖体拝領も、堅信もできません。
特に洗礼のパドリーノ、マドリーナたちの責任は重大。一生、その子の成長を
見守り続ける義務が生じます。義務というと、語弊があるかもしれませんが、
とにかく責任重大。

 そのパドリーノ、マドリーナたちへ、まずごちそうがふるまわれます。

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 鶏の丸ごと煮、クイの丸焼、そして下にしいてあるのが、山ほどのジャガイモ。
それからパンとバナナ。大きなお皿の代わりに、洗面器にずっしりつめます。

 これを彼らは自分たちで一人占め…するわけではなく、招待客たちへ、
少しずつ分けるのです。(ここが村の文化の素敵なところ。)

 でも洗礼を受けた子どもの家族=招待した人たちから招待客へも
もちろん、スープからメインディッシュのごちそうがふるまわれます。

 私はコミュニティーに住んでいる人たちと交流があり、
そのほとんどの人たちは農民です。彼らの家にはパーティールームや
リビングルームはおろか、ダイニングルームもありませんし、ましてや、
こんな大人数が入れるスペースなどもありません。ということで、家中、
あるいは庭中がレセプションスペースになります。壁沿いにベンチや
イスが置かれ、着いた順に座り、テーブルなしで、スープやお肉が
配られます。なんとなく縁側っぽいです。

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↑「縁側」に座るエクトルとムユ。

 そしてそのスープは熱い。おまけにメインも続けざまに来る。
そしててんこ盛り。先住民文化、あるいは農村では、「てんこ盛り=ようこそ」の
意味があるので、とにかくお皿にのっかるだけのっけます。そして残すのは
「あんたんとこのご飯はおいしくないよ」という意味になってしまうので、
絶対に残せません。

 …ということを、私は過去の経験からよ~く知っているので、
私がパーティーに行くとき、必ず持って行くものは:

① 大きめのタッパー →食べられない分を入れる。
② ハンカチOR手ぬぐい数枚 →むちゃくちゃ熱いスープ皿を持つため。またナプキン代わり。
③ 水 →飲んだり、べたべたになった手を洗うため。(飲み水はだいたいのおうちにはない。飲み物は炭酸か、お酒)
④ 袋 →パンやバナナとかもいただくときがあるため。 
⑤ 防寒着 →中に入る場所がない場合、外でずっと座るはめになるため。

 今回もかなり全部役に立ちました。

 招待客もまた手ぶらで行くわけではありません。
私たちは、洗礼を受けた子(友人のお嬢さん)のために
先住民族の衣裳と、我が家のクイ二匹を持って行きました。
一般的には、ビールやワイン(と言っても、甘々の添加アルコール)
や炭酸飲料、それから卵が多いです。

 そしてパーティーに欠かせないのが、バンド&スピーカーです。
大音量で、普通の会話はできません。私はこれが
本当に、大っきらいです。その音量は、お腹が痛くなるほどで、
なおかつ、へたくそなバンドのへたくそな歌が耐えられません。

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 しかし、先住民の人たちは、老若男女この音楽が
大好きです。どんな年齢の人も、これで踊ります。なぜか
互いの目を合わせないのが、ポイントです。

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 とにかく、何かパーティーっつーと、みんな借金してまで、バンドを契約し、
スピーカーを借りてきます。もちろん、豚やら鶏やらクイやらジャガイモやらも、
全部自分とこので賄うには限界があるので、かなりの出費になります。
それでも、お祝を受ける子どもやカップルなどの前途を祝福するために、
家族たちは心を砕いて、準備をするのです。

 あと、告白すると、これらのパーティーのお酒の飲み方も私にとっては、
けっこう辛いものがあります。確か沖縄ではこういう飲み方があると
聞いたことがあるのですが、(送り飲みだったかしら。間違ってたらごめんなさい。)
注ぐ人がいて、コップを持って、順ぐりにふるまっていく。ふるまわれた人は、
全部飲まないといけません。私は自分のペースでお酒を飲みたいタイプなので
ちと辛い。さらに、ワインもどきを勧められた日にはかなり、ぐっとなります。
お酒じゃなくて、炭酸飲料もこんなふうに回ってきます。私は炭酸飲料も
苦手なので、これもツライ。一気になんて飲めないよーと思いながら、
泣く泣く流し込みます。

 そうして、大音量のもと、次々回ってくるお酒を全部飲んでいると、
酔っ払いが当然出てくるわけです。その酔っ払いもへべれけ状態で
半端じゃない。これ、でも男性に限らず、女性もへべれけになって、
そこら辺で寝てたりします。というわけで、パーティーがある週末の
翌月曜日は、仕事に来ない人が多いわけです。

 というわけで、私はパーティーに呼ばれたとなると、そうハッピーな気分に
なるわけではありません。

 でも、先住民族の農村部の人たちは、普段は夜明けから晩まで、
ものすごくよく働きます。だからこそ、そうそうあるわけではない、
パーティーの時は、少々無理しても、がんばって、たくさんの人を招いて、
ごちそうをふるまうし、音楽やダンスをこころゆくまで、楽しむのだろう、
楽しむのが度を越してしまうこともあるけれど、そうやって、発散
しているんだろうと、一人ベンチに座って(パートナーのエクトルはビールを
ふるまう役になってしまった)、大音量の中で眠ってしまった娘ムユを
抱っこしながら、つらつらとそんなことを、そして、
「あー、マエストロたちは明日仕事来ないだろうなぁ」
考えていました。

(そして案の定、今日月曜日、スタッフ誰も現れず。)

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