うちのおじいちゃん

 ムユの父方の祖父母、すなわち私のパートナーのエクトルの
お父さんとお母さんは、キチュア民族出身。年はよくわからないけれど、
たぶん65歳くらいだろうというのが、本人たちの談。私は彼らをタイティーコ
(スペイン語の古語でお父ちゃんという感じ)と、マミータ(お母ちゃん)と
呼んでいます。

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写真撮影:Nirai

 2人とも典型的なキチュアの人で、タイティーコはちょっと髪の毛が
さみしいけれど、後ろに三つ編みに髪を編んでいます。マミータは、
アナコと呼ばれる先住民の女性の服を着ています。下のスカートは
巻きスカートで、2枚の布を帯で留めています。

 子供は男4人と女3人の7人。総領のお兄さんはもう45歳。下は22歳。
一番下のお嬢さん(ただいま第一子を妊娠中)をのぞいて、みんなそれぞれ
子どもがいます。孫総勢21人!

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↑ほんの一部。ちびっこのみ

 孫慣れ(?)しているので、かわいがってはくれるけれども、孫にメロメロ、
ということはありません。

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写真撮影:Nirai (ムユがまだ一歳のころ)

 日常会話は全部キチュア語の彼ら。スペイン語も話せるタイティーコですが、
でも私の語彙とは、かなり違います。ちょっと耳も遠いこともあって、会話は
ほとんど成り立ちません。ときどきとんちんかんな会話になります。私のスペイン語が
まだヘタということをさっぴいても、かなりオカシイ。

「ところでアヤはいくつなんだい?」
「33歳」
「え?15歳?」

「今日マミータ(お義母さん)は?」
「草を食べてる」
「え?」
「牛でしょ?」

 ちなみにこのお父さん、困ったことに、飽きっぽい。とにかくいろんな商いを
始めては、すぐ「金にならない」と言ってやめてしまう。その商売は、私が
知るだけでも、洋服販売、ブロック製作、パン屋、糸紡ぎなどなど。
宵越しの金はもたねぇという江戸っ子のように、有り金を全部その日に使ってしまう。
そして方々で借金して、すぐ首が回らなくなる。子どもたちに頭下げてお金を
貸してもらい、そして子どもたちにこんこんと説教される。私はたくさん、その現場を
見てきました。

 その会話は全部キチュア語なので、何を言っているかわからないけれども、
お父さんのきょとんとした顔がおかしくて、私はいつも心の中で、笑ってしまうのです。
昔の威厳はどこへやら、子犬のような目をして、子どもたちの話を聞いているのです。
でも懲りずに現在も借金中。マミータ、キレ気味。

 話は飛びますが、私は、先住民系の料理は、ほとんどできません。
鶏・クイ・豚の丸焼き(さばくのも入れて)などはできないし、ジャガイモの皮むきも
とうもろこしをばらすのも、女性たちの芸術的技に比べれば、稚拙で遅い。「ゆでる」
という単純作業ですら、薪で火を起こして大なべでするものだから、うまくできません。
「切る」のも、まな板がないので、できない。だから「できない子」の私は、いつも
お料理を運んだり、お皿を洗ったりするだけなのです。

 私が作る料理の味付けも、彼らにとったらびみょーな感じなんだと思います。
実際、そういう顔されるし、食べずにしまわれたりする。先住民の美徳として、
出されたものは絶対に残さないというのがあるので、黙って持参した袋に入れられます。

 そんな中で、このタイティーコは、私の料理を評価してくださる数少ないお人。
日本食ずばりはしないものの、グラタンとか、コロッケとか、けっこう日本ぽいものも
お好きなようで、目を細めて食べてくださるのです。以前、ワインも使い、何時間も
煮込んだ、ミートソースのスパゲッティに、ばしゃっとアヒ(とうがらしのソース)を
かけられ、がっくりしたことがありましたが、でも概ね、好評。

 おとついの日曜日にいらしたときは、ただのレンズ豆を煮たものをおだししたのですが、
キチュア語でエクトルにこう言ってくださったそうです。

「おまえは料理上手のいい嫁をもらったなぁ。家でも食べるものなのに、全然味が違う。
外国の高級料理をアヤは勉強したんだな」

こんなこと言ってもらったことなんて、人生で初めてでした。

ちなみにデザートにメロンがあったので、それをお出ししたら、

「これ、かぼちゃ?」

おしまい



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  • インティ・ライミ

    Excerpt:  去年も書きましたが、インティ・ライミとは、 夏至の日から始まる、先住民たちの太陽の祭りのこと。 つまり、自然に感謝する日のことです。 この日を、みんな、特に男性は心待ちにしています。 Weblog: El Diario de Kurikindi racked: 2009-07-17 05:56